2013年 若竹苑訪問

この度、当会会長柴より済世利人部部長の任を賜り、お引き受けすることとなりました保土ヶ谷安楽寺矢澤玲道と申します。浅学菲才を顧みず大役を引き受けましたが、先輩諸氏が脈々と築き上げて来られました大功を継承し、当会の更なる発展のために一意奮闘して参る所存でございます。

さて、済世利人部は先だって5月28日に介護老人福祉施設の若竹苑に訪問をさせていただきました。若竹苑訪問は済世利人部の定例行事となっており、住居者の方々、またはデイサービスを利用されている方々と一緒に催し物を楽しむ場です。部長として臨む初めての行事ですから緊張しましたが、済世利人行をさせていただいているという謙虚な気持ちを念頭に置いて当日を迎えました。

催し物の内容は、曼荼羅塗り絵と弘法大師さまの生涯を描いた紙芝居です。曼荼羅塗り絵は大人の塗り絵の新しい形として近年話題になっています。

見本が無いこと、自由な色使いができること、どこから描き始めてもかまわないこと、などから自分だけの作品=個性を塗り絵に見出すことができます。左脳で正確に描くことを考えながら右脳で色を感じること、これが一種の瞑想状態を引き起こし脳の活性化に役立つそうです。

おじいさん、おばあさん方にも好評で、無心に塗り絵を楽しまれたり、時には我々青年僧と和気藹藹とする場面も多く見られ、大変好評であったと感じました。私自身も、みなさまと曼荼羅塗り絵を楽しみ、ひとつのことを一緒に行うことで得られる充足感や、笑顔は何歳になっても素敵だなと肌で感じることができました。

もう一つの催し物の紙芝居は、弘法大師さまの生涯を描いたもので高野山高校からお借りしました。

高野山高校の生徒が作成したこの紙芝居は、山内行事にもたびたび登場するそうで、卒業生にとっては大変懐かしいものだそうです。

日頃、朝暮の例時で発声に尻込みすることは無いとはいえ、声学に疎い素人5名での上演。不安はありましたが、手を合わせて下さる方、熱心に見入って下さる方のご助力で、なんとか最後の御宝号までやりきることができました。

今回の訪問で、済世利人行は決して一方通行の施しであってはならない、と身をもって実感いたしました。相手がいて自分がいる。助けたつもりが助けられている。相互供養、相互礼拝。坊さんとしての生き方である。本当にそう思います。この気持ちを忘れず、ひとつひとつ目の前にあることをこなさせていただきたいと思います。

最後になりましたが、若竹苑訪問が無魔成満できましたことは、みなさまと弘法大師さまのおかげであります。済世利人部は宗祖弘法大師の教えに則り、相互供養、相互礼拝の精神を共有する僧伽として、切磋琢磨し、ますますの寺門興隆に努めていきたいと思っております。

▼済世利人部部長 矢澤玲道▼