タイ研修旅行レポート6

今回、タイでの上座部仏教の視察に参加させていただきました。タイの神田僧正と共に各寺院を巡りながら上座部仏教について、また、タイの仏教に対しての信仰を、自分の目と耳と心で感じさせていただきました。私は、上座部仏教というものをあまり知りませんでしたが今回初めて実際に目の当たりにして、幾つか感じた事をお話させていただきます。

一、日本とタイでの仏教(宗教)の位置づけ、性質の違い

日本の宗教といいますと寺院にて故人の供養が主となりますが、タイでの仏教(宗教)は信者全てが徳を積む為の行為が主でありました。街の至る所で祭壇が祀られており、沢山の神仏が信仰され、沢山の供物で彩られておりました。

そこで私は、普段自分自身が自坊の仏様は大切にしていましたが、町中にある道祖神に手を合わせた事があったのだろうかと思いました。

日本で言う道祖神の様に、神仏が所々に祀られ、色々な方が供物を供え、手を合わせ祈られる、、、というタイでは一般の方々が当たり前のようにされている事を私自身は出来ていたのだろうか・・・。と今の自分の現状を改める良い機会となりました。

一、生活に活かされた仏教(宗教)、街並み

タイで驚いた事は、やはり街並みです。日本では整えられた街に古い寺院が建っていることが多いのですが、タイでは街の風景はとても観光地とは思えない程荒れた建物やお店が多くありましたが、そのような街並みの中でとても綺麗な寺院が建っておりました。その寺院というのは、信者さんの寄付で建っているものだというのです。自分達の生活も大変だけども、お寺の為に尽くしたいという信仰の強さの現れなのではないかと感じました。

さて、自分自身はどうでしょう。やはり頭では分かっていても自分の生活が第一になってしまっています。

僧となった自分は、「本尊様によって生活をする事を許されている」ということをついつい忘れてしまっている、と改めて痛感致しました。

一、戒律を重んじる上座部仏教

神田僧正は、タイでも出家をなされたとの事で、上座部仏教の僧として戒律を守り生活をしておられました。

朝、托鉢をしてその日1日分の食べ物を施していただき、施してくれた方に徳を積んでもらう為にパーリ語で祈る。(托鉢時に入れていただいた物は、捨ててはならない、二食の内に食べきる、もしくは人に渡しても良い。)
これも全て戒律の中で定められていることだそうです。

食事の席も別々であり、いかに店員であろうとも女性が僧侶に触れてはならない。(飲食店で、女性店員がおしぼりを渡す際に、現地の男性ガイドさんが受けとり渡していた。)

それ以外でも計227の戒律があり、全てを守られないといけないとの事でした。

僧だけが戒律を守るという事ではなく、国全体が僧の修行の手助けをしている様に感じました。

一、衣・袈裟に対しての意識神田僧正にうかがった中に、衣についての事を伺いました。

衣・袈裟は、師僧からいただいた物しか着ける事が出来ない。

サンガの規定で三枚までしか持つ事を許されない。

以上の二つの事について伺いました。
そこで私は、普段自分自身は衣に対してどこまで考えていただろうかと思いました。

衣や袈裟は沢山持っておりますが、やはり本来は、ボロボロになっても師僧から戴いた衣・袈裟というのは特別な思い入れがあり、それが本当に仏様から戴いた物である、と実感致しました。

今回、タイに行かせて戴いて思った事は、日本とタイでは宗教の取り入れ方の違いがあり、上座部仏教の全てを用いても日本には受け入れる環境が無い、というのが現状なのではないかと思いました。

しかし、地域社会の取り組みは難しいかもしれませんが、我々僧侶の在り方としては、上座部仏教についてを知り実際に見た事で、今のままではダメな事を実感しました。

まずは、自分自身の信仰心の在り方を今一度考え直し、神田僧正のお話を再確認する事も大切であると思います。

その中で、日本に伝わった仏教、お大師様の伝えられた真言宗、タイで感じた上座部仏教を、自分の中で取り組み、僧として成長させて、地域社会にも活きる様、檀務・法務に努めたいと思います。

合掌