平成27年3月5日、東日本大震災物故者慰霊法会を、天台宗大本山中尊寺本堂に於いて、高野山真言宗神奈川青年教師会並びに有志の青年教師により、平座理趣三昧にて勤修させていただきました。
中尊寺さまは、遡ること平安時代末期、藤原清衡公が二度に渡る大きな戦いで家族を亡くし、後に東北を治めた清衡公が戦いで亡くなられた全ての人々、また全ての生き物達の御魂が極楽浄土へと導かれることを強く祈られて、建立されたお寺であります。東日本大震災では、堂宇も被災。壁の崩落や床の歪みなど大きな被害に見舞われたそうです。後に本堂修繕の砌、清衡公が中尊寺を建立された当時の故事に習い、金色の釈迦如来を新造、安置されて現在に至ります。また、東日本大震災物故者のお名前を、一人一人、中尊寺の方々が手作業で過去帳へと記入し、丁寧に供養を続けて居られます。
その本尊の御前にその過去帳を安置し、外陣に壇を構えて法会を致しました。まさに清衡公が願われた一切の御魂が救われる浄土の思想を今に受け継ぎ、体現されておられる御寺院だということを肌身で感じる法会となりました。法会の前に貫主さまより御言葉を頂きました。震災より数年、未だ安否不明、見つかっていない方々が沢山居られ、人々の心の復興は未だ果たされていない旨、切々と語られ、その言葉や、想いが法会を前にした私達の胸に深く染み入りました。東日本大震災物故者慰霊供養の為、宗派を超えての祈りの場を御快諾頂いた御縁、まことに有り難いことと存じます。
真言宗僧侶達が、こうして天台宗大本山中尊寺本堂にて法会を行うのは、初めての事だそうです。宗派を超えた祈り、まさに浄土の地を感じました。そして、願わくは、この功徳を以って普く一切に及ぼすことを願いながら、東北を始めとして中部・関東地方に渡る広範囲の、被災した多くの人々の生活や心の復興をも強く願っております。
記事:野村