9月29日、三春台東光寺の本堂にて高野山より、佐藤隆彦先生をお迎えし仏前結婚式研修会を行いました。この日は16名の参加者が集まりました。朝9時から17時までという長い1日でしたが、大変実りある研修会となりました。
そもそも結婚式は明治では宗教的儀式ではなく、村落共同体において、村全体に結婚する人達を認知する為に行われていました。
仏前結婚式は、明治20年に立正安国会(現国柱会)の創設者である田中智学によって行なわれたのが始まりだそうです。
その後明治40年に増上寺で、初めて浄土宗檀信徒の仏式結婚式が行われました。大正11年になると、三三九度や親族固めの盃を取り入れた結婚式の差定が、『浄土宗法式精要』で発表されました。
真言宗では、宗の定めた様式はなく、豊山派法則集や岩原諦信先生の諸作法の私案に仏前結婚式の作法が書かれております。
今回の研修会では4種類(結婚式作法、仏前結婚式儀則、仏前結婚式次第、教授手控)の次第に沿って進められ、戒師の作法、次第の意味合い、戒律の説明、式中の流れなど一つ一つ丁寧に分かりやすくご説明頂きました。
仏前結婚式で一番重要なことは、仏様の御前にて戒師様より戒を授かり、その戒を守ることを夫婦が誓うことであると教えて頂きました。その戒とは、真言宗では「十善戒」になります。
十善戒を守ることは、人として幸福な人生を過ごすために大切なことです。今回、十善戒について改めて学んだことで、自分自身が仏教徒としてこの戒を信仰し受持していくことはもちろんのこと、一般在家の方であったとしても、これから結婚する2人が円満な生活を送る為に必要な戒であると、充分理解することができました。真言密教の作法は、亡くなった方に対しての「仏事」だけではなく、「結婚」という一つの大切な人生の節目にも関わっていくことが出来るのです。
今回学んだことを一般の方や檀信徒の皆様に伝え、仏教の教えは法事や葬式だけではないという事を、折に触れて広めて行きたいと思っております。
合掌
記事:木川曉雄