この度、講師阿闍梨様に中西雄泰僧正様、随員に森寛賢僧正様を祖山よりお迎えして諷誦文・祈願文の作成の仕方について学ぶことを目的とした研修会を開催致しました。
今回の研修会は前期の企画で法会を修した際に作成した祈願文が契機となり、井上会長の熱烈な想いが合わさって開催するに至りました。
自分と致しましても諷誦文を認めた経験が少なく実際に認めた時も先徳の認めた文章を入れ替えることがやっとというような状況で、自分の伝えたい内容になっているのか、文章が上手く噛み合っているのか疑問に思っておりました。
今回の研修会に先立って阿闍梨様におかれましても作成に関しての明確な定石がなく、認め方を示した資料の少なさについて嘆かれておられましたが先徳の認めた文から全体の構成を意識して内容に適した文言を撰び、作成していくやり方を中心に至極丁寧なるご指導を賜ることができました。その中で各段落の持つ趣旨を知り、如何に多くの“資料”を紐解き触れることが肝要であるかということを学び、作成にあたり非常に力強い道標となりました。しかしながら、それは同時にお大師様の御心や真言教学を咀嚼し、アウトプットしたものでなければならないということを改めて痛感した次第でございます。
また高野山の風習についてなど諷誦文・祈願文の作成の仕方に関連した内容の講義も賜り、特に葬儀の大切さや在り方に関しましては阿闍梨様の一段と熱の入った講義を拝聴させて頂きました。
本企画を起こした当初は緊急事態宣言中ということもあり、無事に開催できるか不安な日々を過ごしておりました。しかし今回の研修会の主旨である諷誦文・祈願文の作成の仕方を通して真言僧として如何にあるべきかという本質に触れるような核心的な部分まで多岐に渡り、ご教示賜ることができ大変有難い時間を過ごすことができたと思っております。
そして今期の青年会では、この度の研修会を通じて得ることのできた知識を形にして表していきたいと考えている次第でございます。私事ですが専修学院にいた頃、法式の講義で能化をお務めされていた中西僧正様が作法や文化の多様性が失われてきていることに関して、苦言を呈しておられたと記憶しております。その形とするものが会員それぞれの想いを表現することの足掛かりとなるようなものになればと切に願っております。
多くの方々のご協力のもと無事に研修会を終えられましたこと厚く御礼申し上げます。